10月のスープ

By | 2016-11-08

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10月のスープは塩漬け豚と白菜のポトフでした。
一週間塩漬けされた豚肉は、ゆっくりと火を通されるので、切ってみると自然のピンク色をしています。
形がくずれないように紐でしばられた白菜と豚肉のかたまりをみんなでシェアして食べるのだそうです。
アクセントに、塩や粒マスタードを添えていただきます。
そのスープは澄んでさっぱりとしていて、自分でつくるポトフとは全然違います。

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今回は人数が少なかったので、大人のおいしいスープの日としました。
畑で間引いた白菜、ちぢみ菜、にんじん、大根を熱湯にさっとくぐらせ、サラダでいただきました。
ドレッシングは油と酢、塩、こしょうのシンプルなものですが、にんじんの葉や大根の葉といったくせの強い野菜をひきたててくれてとてもおいしくいただきました。

次回でスープの日とこらむは最終回となります。

佐藤シェフのコラム 17

「秋の食材」

 5月に「春の食材」というコラムを書きましたが、今回は「秋の食材」について書いてみます。
 皆さんは「ジビエ」という言葉を知っていますか?これはフランス語で狩猟で捕った天然の鳥獣をさします。例えば、鹿、猪、ヤマシギ、ヤマウズラ、カモ、ハト、ライチョウ、ウサギなどは有名です。ジビエを使った料理はフランスの伝統的な料理ですが、ジビエの旬が秋から冬なのです。元々天然の動物の肉は脂肪が少ない肉ですが、秋は冬に向けて一番脂がのる時期だからです。それらの肉は通常ねかせてから調理されます。鳥なら羽、ウサギなら毛がついたままぶらさげられ、風にあてたりして熟成させます。
 天然のものなので、捕り方によっても肉の品質が変わります。散弾銃の玉がうちこまれたものは腐敗が早いため、あみなどで傷つけずに捕まえたものは価値が高くなったりします。
 日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、またぎ料理にちかいのかもしれません。人間に育てられた肉よりも脂肪分が少なくぱさつきやすいため、火がしっかり通ったレアで調理されるのが普通ですが、煮込んだり焼いたり、内臓をソースにしたりします。ジビエの肉は貴重で高級食材のため、それを料理にすると高価なものになりまが、肉の保存の仕方、熟成の具合、火の通し方、スパイスやソースどれもその料理人によって全然違うため、料理人冥利につきる食材なのです。
 食育ではよく命をいただくといいますが、同じ動物の肉をいただくとしても、家畜と野生動物ではこれだけの違いがあり、ただ空腹を満たすだけではなくおいしく料理するということは人間の知恵を絞った大切な文化なのです。
 わたしのお店ではいいものが入ったり、ジビエがお好きなお客様がいればお出ししたりします。今年の秋は例年になく急に冷え込んだり、暑くなったりと気温が不安定で、なかなか煮込みなどのメニューを考えるのが難しいのですが、これから冬に向けてお店の料理も変化していきます。