9月のスープはバターナッツ・スカッシュかぼちゃのクリームスープです。
バターナッツ・スカッシュは昔は手に入らず頼んで作ってもらっていたそうですが、今は直売所などでよく見かけるようになったそうです。
スープにするのに適したかぼちゃということですが、その通り、とてもなめらかな舌触り、やさしい甘さで、身も心もほっとするスープでした。
あっというまになくなってしまいました。
佐藤シェフのコラム 16
「責任をもつこと」
わたしには娘がふたりいますが、大きくなっても一緒にスポーツをしたいと思い、上の子が小さいころにわたしがやっていたテニスを習わせました。しかし、娘が小学3年生になったときに、テニスをやめたいと言われました。理由を聞いたところ、「本当はわたしはやりたくなかった。」ということでした。わたしはその時に、自分でやりたいという気持ちで始めなければ、どこまでいっても親や自分以外の人に責任転嫁ができ、逃げ場があるのだということに気がつきました。それからは、こどもに何をやりたいかを考えさせ、決定も本人にさせることにしています。そのひとつとして、夜に次の日にやることを自分で決めて書きとめさせ、それをわたしが帰宅後に見るということを続けています。計画がたてられないときや、実行できなかったときは、なぜできなかったのかを本人の責任のもとに考えます。また大きいことを決めるときや迷っているときには、判断する材料をたくさん探すことを手伝います。そして、どのような判断をしたとしても、間違っていてもいい、やってみてだめだったらまた次を考えなさい、という気持ちで見守っています。
十人の親がいれば、十人の教育方針があって当然です。わたしがこのように考えるのは、シンガポールで日本とは違う文化の教育をみてきたこともありますが、料理人として下の人達をまとめる、経営者と話し合いをする、若い人に教えるなど、様々な立場で発言をする機会がたくさんあったからかもしれません。立場がたくさんあるからこそ、どんな場合も同じ発言を責任を持ってするよう常に心がけてきたからです。
今は大人でも「しょうがない」で片付け責任をとらない人が多くなったように思います。以前にも書きましたが、失敗を恐れる風潮や、直接の会話ではなくメールなど、少しでも自分にダメージがないように生きられるように社会が変わってきたのかも知れません。
それでも、娘や若い人には、将来を自分の力で決めていくために、日頃から責任をもつことについてきちんと考えてほしいと思っています。親や大人にできることは、失敗から守ることではなく、たくさんの失敗をさせてあげられることなのですから。