10月のスープの日

By | 2015-11-01

10月24日(土)のスープの日のスープは「焼き芋のスープ」でした。
焼き芋と、おいしいクリームだけでつくられたスープは、焼き芋よりも少し薄いクリーム色をしています。
名前から想像できる通りに、とても濃厚なのに優しい甘さで身も心もほっこりするスープでした。
今回のコラムにあるように、焼き芋をつくるためにもそのサツマイモに適した甘みを引き出す火の通し方が行われたのだろうと思うと、その甘さも貴重なものなのだと感じます。

スープブログ用

佐藤シェフの今月のコラム7

「食品の組み合わせについて」

 お料理を作るとき、メニューを考えてから食材を買う場合と、食材からメニューを考える場合があります。食材から料理を考える場合、どのように組み合わせを考えているでしょうか?
 スープの日のスープは食材から考えられています。例えば、先月はコラムのテーマが「発酵」だったので、パンを入れたスープにしよう考えるところから始まりました。パンはスープに香りととろみをつけるために使います。それでは野菜は今が旬のネギとジャガイモにしようか、それを塩とお水だけでスープにした場合、味にインパクトをつけるためには何を入れようか?ということでオリーブオイルにベーコン、鶏肉の香りをじっくり移し、そこにタイムを入れて香りづけをしよう、という具合に決まりました。
 昔は親子丼やカツ丼にはたまねぎ、のような組み合わせのセオリーがありましたが、野菜が品種改良されて変わってきているので、今はセオリー通りだけではなく広がりがでてきています。以前ヨーロッパでは煮込んで使われていた野菜でも、品種改良されたものはそれほど煮込まなくても良くなっていたりもします。食材の変化だけでなく、働く人間がグローバル化し始めたときから、例えば生で食べる習慣がなかったところに、そうするための下処理の技術がもたらされ、生食文化の融合によっておこった変化もありました。組み合わせや調理法は、その食材がどのような特徴を持っているかで流動的に決まってくるのです。
 その特徴を見分けるためには、まず生で食べてみること、生で食べられない場合はシンプルに火を通して食べその食材を知ることです。そこから組み合わせや調理法を考えるのは経験も必要です。まずはいろいろな料理を食べてみた経験、本や雑誌も、食材の特徴を知り、生かすための情報源となります。さらには、実際に野菜を作っている農家の方々に教えてもらうこともたくさんあります。
 スープの日のスープは、お店で出すのとは違い、一旦わたしの手を離れるため、後からどのように火を入れてもいいように作っていますが、お店で出す場合、組み合わせだけでなく、スープにパセリをただ刻んでのせるのではなく、特殊な方法でパセリの風味をオイルに移してたらすなどのように、より手間をかけおいしさを引き出す工夫をしています。