2月のスープの日

By | 2016-03-01

2月のスープ

2月27日(土)のスープは「おやつのスープ、リンゴのスープ」でした。
冷たいリンゴのクリームスープに、リンゴをアップルティーで煮たジュレを合わせていただきます。
大人はシナモンをかけて。

りんごのジュレ
これはスープに入っているジュレです

リンゴのクリームスープだけでもおいしいのですが、そこに複雑な香りのジュレが合わさると舌触り、味わいともにぐんと幅が広がります。
それは驚きであり感動です。
ジュレにはまだ充分に堅さを残すリンゴも入っていて、そのさわやかさと食感がさらにおいしさを増しています。

料理とはオーケストラのようです。

今回も薪釜のパン屋さん「麦屋」さんのリンゴとレーズンのパンを合わせていただきました。

リンゴとレーズンのパン

佐藤シェフの今月のコラム 10

「引き出しをふやす」

わたしは子どもを教育するということは「引き出しをふやす機会をたくさん与える」ということだと考えています。自分の子どもはもちろんですが、将来料理人になりたい若い人達と接することも多くあります。そういう若者には、特にいろいろなものを食べる機会をつくりたいです。若いときはお金がなくなかなか食べられないだろうけれど、同じ名前の料理でもつくり方によって味は違うということなどを知ってもらいたいと思っています。
 なぜ引き出しが多いほどいいのでしょうか?何でもできるのがいい、ということではありません。
 わたしは、ホテルオークラ、シンガポールの大使館、東京の白金台のとても高級なフレンチレストランを経て、現在地元宮城県の仙台市でオーナーシェフとして働いています。お店をだすにあたって、仙台になかったお店にしようと考えてここまでやってきました。
 でも、これから先は、その土地のその環境でしかできない空間を、地域の人たちとやっていくような場所にしたいと考えています。もちろん、お店はお客様に非日常を体験してもらう場所として存在しますが、それをその地域の老若男女全ての人が充分に味わうことのできるようなメニューやサービスはなんだろうと考えているのです。メディアは旬なもの、新しいものを常に追い求めているけれど、そういうものではなく、自分にできる、来て下さる人を思うお店とはどんなものなのかを考え続けているのです。
 夢はかなえるだけではなく、継続していくものです。なんでもそうだとおもいますが、お店をもって、その先どのように続けていくかということは、どこかから持ってきた薄っぺらい考えではとうていできるものではありません。それを考える上で助けになり、しっかり支えてくれるのは自分の経験だと思うのです。
 だから、たくさんの経験をする、つまり引き出しをふやすということがとても大切だと考えるのです。特に、子どもにとっては、それが自分の好きなことを見つけることにつながり、そしてそれを続けていく力になると信じています。