9月のスープの日

By | 2015-09-26

9月26日(土)のスープは「岩手地鶏、ベーコン、アンデスレッド(じゃがいも)、しいたけ、ネギ、パン・ド・カンパーニュのスープ タイム風味」でした。

9月スープ

アトリエの畑では野菜の肥料のためにぼかしをはじめ発酵がかかせません。
発酵は身近な食品にもたくさんあるので、今回はシェフのコラムは「発酵食品」についてです。
それにちなんで、今月はフランス料理にはかかせない代表的な発酵食品のパンを使ったスープをつくっていただきました。

たくさんの具とそこからでるスープを塩だけで味付けし、薪釜で焼いた天然酵母のカンパーニュを入れました。
パンが入ることでスープにとろみがつきますが、天然酵母のパンがもつ独特の香りや味がスープの風味をさらに深く複雑にしています。
そこにタイムがやさしく香って味を引き立てている、とても贅沢な心も体もあたたまるスープでした。

佐藤シェフの今月のコラム6

「発酵食品について」

 日本を含むアジアは温かく湿気が多いので、みそやしょうゆをはじめたくさんの発酵食品があります。フランス料理ではどうでしょうか?フランス料理で使う発酵食品の代表と言えば、パン、チーズ、ワインです。特にパンは料理と同じくらい大切なもので、自分のお店でつくるところもあります。プレジールでは、粉とお水から天然酵母をつくって生地を発酵させ、それを薪で焼いているパン屋さんのライ麦パンを2種類お出ししています。天然酵母のパンはその作り方から、いろいろな香りや味、風味があります。
 フランス料理でのチーズは、残ったワインをチーズをつまみながら、ということで食後のデザートの前に食べたり、同じ理由でメイン料理の後、デザートの前にチーズを使用した料理をだしたりという使われ方が多いです。これほど禁煙がすすむ前は、食後にチーズとワインとシガー(葉巻)なんて光景もよくありました。イタリア料理のチーズの使い方とまたちょっと違いますね。
 わたしはこどものころから日本の豊富な発酵食品をあたりまえに食べてきました。それはフランス料理をつくるにあたり影響はあるのでしょうか?フランスでは気候が違うため、調味料などで発酵製品はあまりありません。けれど、流通が発達した現在は、フランスでもみそやしょうゆなども隠し味に使われるようになってきています。なぜなら、発酵した調味料はうまみのかたまりのようなものだからです。
 その昔、フランスで修行した日本人は日本で出店したものですが、現在は現地でお店をだすのもあたりまえの時代です。料理の世界では、人も、食材もどんどん国境や人種の垣根はなくなってきているのです。料理に限らず、どんな食材も使われるようになってくると、ワインなどその土地のその気候に根付いた微生物によって味が決まるものが各地で作られたり、和牛が日本以外の国で育てられたりと、その土地ならではの食品が違う環境で作られることにより多様化してきています。